宝ものは君たちの中にある

コラム:「お金」について考えてみよう その1
〜スイッチラボ的お金の見方〜

2024年8月1日掲載

こんにちは。MYスイッチのスイッチラボです。

みなさん、夏休みを満喫していますか?  このところ猛暑、酷暑と呼ばれる日が続いていますが、今しかできない体験を、いっぱいしてもらいたいと思っています。もちろん熱中症対策は万全に。

それにしても、最近の暑さは尋常ではありませんよね。もはや体温以上は当たり前。30度以下の時は「涼しい」と感じてしまうほどです。現在では35度を超える日を「猛暑日」、40度以上を「酷暑(こくしょ)日」と呼んでいます。ただし、気象庁が定義しているのは「猛暑日」までで、「酷暑日」については「tenki.jp」を運営する日本気象協会が、アンケートや独自の調査を行った結果、2022年夏からこの呼び方を使うようになりました。

確認のため、気象庁が発表している正式な呼び方は、次のとおりです。覚えておいても損はないでしょう。

  • 25℃以上の日を夏日なつび
  • 30℃以上の日を真夏日まなつび
  • 35℃以上の日を猛暑日もうしょび

ここでスイッチラボの「調べスイッチ」がカチッと入ってしまいました。「酷暑」よりも暑さを表す呼び方は、果たしてあるのだろうか?と。「酷暑こくしょ」の「酷」を訓読みにすると「ひどい」「むごい」。感覚的には「激しくひどい」「めちゃくちゃひどい」という意味です。

こういう時に頼りになるのが、生成AIのChatGPTです。早速聞いてみたところ、面白い回答が返ってきました。5つ紹介すると・・・

  • 炎暑えんしょ – 炎のように熱い暑さ
  • 焦暑しょうしょ – 焦げるような暑さ
  • 焼暑しょうしょ – 焼けるような暑さ。
  • 煮暑しゃしょ – 煮えたぎるような暑さ。
  • 激暑げきしょ – 非常に激しい暑さ。

いずれも見ているだけで「暑そ〜」と思える呼び方ですね。ここまでひどくならないことを切に願いますが、毎日真剣に暑さ対策をしてきましょうね。

さて、8月最初のスイッチラボのテーマは「お金」です。7月3日(水)から新しいお札(=紙幣しへい)が発行されました。20年ぶりのデザイン変更とあって、7月初旬は結構話題になりましたが、発行からそろそろ1ヶ月。みなさんはもう新しいお札に出会いましたか? ラボメンバーは先日やっと、1万円の渋沢栄一氏にお目にかかることができました。見慣れないので、一瞬おもちゃのお札のように感じてしまいましたが、じーっくり見てみると、その技巧の素晴らしいこと! 特にお札の表面の左側にあるキラキラした部分に小さく浮かび上がる渋沢さんの顔には驚きました。やっぱり日本の技術ってスゴいです! ということで、スイッチラボらしく、いろんな角度から「お金」を「深掘り」していきたいと思います。夏休みの自由研究にしても面白いテーマだと思うので、参考にしていただければ嬉しいです。

データから見る新しいお札

札の正式名称、知ってる?

「お金」「お札」といえば通じるので、これ以外の呼び方があることを知らない人も多いのですが、お札(紙のお金)のことを「銀行券」、小銭のことを「貨幣(かへい)」と呼びます。お金を作って発行しているのが「日本銀行」なので、「日本銀行券」と呼ぶこともあります。

今回、お金のことを調べるにあたり、久しぶりに「日本銀行」のウェブサイトを見たのですが、お金のデザインや素材、重さまで書いてあり、「なるほど〜」と思いながら、時間をかけてしみじみ見てしまいました。

みなさんもぜひ、この機会にご覧になってみてはいかがでしょうか。

日本銀行
https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/valid/issue.htm

どのくらい作るの?

今回新しくなったのは、1万円札、5千円札、千円札の3種類。現在流通している紙幣は、2000年に誕生した2千円札を加えて4種類ありますが、そのうちの3種類が新しくなります。2022年度から作り始めて、来年2025年3月末までに「74億8千枚」を刷る予定です。

ちなみに、20年前(平成16年)に新しいお札に切り替わった時は、1年で6割程度が新紙幣に入れ替わったそうです。一気に切り替わるのではなく、徐々に、時間をかけてじっくり浸透するんですね。

新しいお札の「顔」は誰?

すでにご存知だと思いますが、今回お札に登場した3名のプロフィールを簡単に紹介しておきましょう。3名とも明治時代に活躍した方で、近代日本のために力を尽くされました。

一万円札

渋沢栄一(しぶさわえいいち)

福沢諭吉ふくざわゆきちからバトンタッチしたのは、渋沢栄一。「近代日本経済の父」と言われ、多くの会社を作り経営し、日本初の銀行を作ったのも渋沢氏です。経済だけでなく、教育や社会事業にも取り組みました。ちなみにお札の絵は70歳の時の写真をもとに、若々しさを表現するために60代前半の姿にしているとか。SNS的にいう「盛った」感じになっているのも面白いですね。

五千円札

津田梅子(つだうめこ)

新渡戸稲造にとべいなぞうからバトンタッチしたのが、津田梅子。女性が今のように教育を受けられるようになった最初の扉を開いた人です。日本で初めて海外留学を経験し、女子校等師範学校の先生となり、1900年に「女子英学塾(現代の津田塾大学)」を創設しました。お札になった絵は30代の時の写真をもとにしているそうです。

千円札

北里柴三郎(きたざとしばさぶろう)

野口英世のぐちひでよからバトンタッチしたのが、北里柴三郎。「近代医学の父」と呼ばれる細菌学者です。傷口からバイ菌が入って死に至ることもある「破傷風はしょうふう」の治療方法を確立させました。また、世界を恐怖で包んだ「ペスト菌」を日本ではじめて発見した人でもあります。お札の絵は50代の時の写真が使われたそうです。

なぜ、お札を新しくしたの?

理由は主に2つあります。ひとつは偽造(ぎぞう)しにくくすることです。要するに「ニセ札作らせない!」ということです。現代の印刷技術の進歩はめざましく、特にカラーコピーの進化は驚くべく進化を遂げています。技術の進化自体は喜ぶべきことですが、問題はそれを悪用する人が出てくることです。実際に、自宅のカラーコピーでコピーしたお札が使われた「ニセ札事件」も多く発生しているとか。それは早めに対策しなければ!ですよね。

今回、新しいお札に使われているのは「3Dホログラム」という世界初の技術です。これに高密度な「すき入れ」という難しい印刷技術を組み合わせて、新しいお札は作られています。そのこだわりは「ここまでやるのか!」と、スイッチラボがホレボレするほどです。

2つめの理由は「ユニバーサルデザイン」を取り入れたこと。「ユニバーサル」とは「すべてに共通の」「普遍的な(ふへんてき=ずっと変わらないこと)」という意味です。文化・言語・国籍の違いや年齢・性別・能力の差異、障がいの有無などに関わらず、どんな人にも使いやすく、簡単に、意識しないでも使えるような配慮がされているデザインということですね。もともとユニバーサルデザイン(略してUD)は、障がいのある人でも使いやすいようにとの「バリアフリー」の発想で使われていましたが、それが多角度的に広がって、文化や年齢、性別などを超えて、多くの人がごきげんに使えるようにという考え方になりました。新しいお札は、今までのお札とどこが変わったのか? どこが使いやすくなっているのか? 実際に比べてみるのも楽しい学びになりますね。

「20年ぶり」をスイッチラボ的に見てみる

今回の新しいお札の発行で、スイッチラボが注目したのが、「20年目に変えた」という点です。今は法律が変わって。2022年から成人年齢が20歳から18歳に変わりましたが、「20歳でおとな(=成人)」という方が、まだまだ馴染みがありますよね。そう、人が生まれて成人になるまでの時間。この20年という月日には、いろんな意味が込められていると、スイッチラボは思うのです。

その代表的なものが、三重県にある伊勢の神宮で行われている「式年遷宮しきねんせんぐう」です。20年ごとに社殿、鳥居、橋など、すべての建造物を建て替える儀式で、飛鳥時代から脈々と受け継がれています。前回は2013年に、第62回目の式年遷宮が執り行われました。

伊勢の神宮以外にも遷宮を行っている神社仏閣はありますが、「きっちり20年ごと」に行っているのは、伊勢の神宮だけです。まだ使えるのに建て替えるなんてもったいない・・・という意見もあるようですが、今まで使っていた木材はじめすべての部品は他のものに使われ、活かされ、究極のリサイクルが行われているんです。

「なぜ20年なのか」については諸説ありますが、スイッチラボが「これだ!」と思うのは、技術の提唱説です。20年に1度、大改修が行われるならば、生涯のうちに2度、長生きすれば3度、「実体験」を積むことができます。自分で得た知識を次世代に体験とともに伝える。こうして高度な技術が変わることなく受け継がれていくんですね。

今回のお札のデザインもちょうど20年目ということで、式年遷宮と重なったスイッチラボ。生きた技術と知恵を学び、理解して自分のものにした上で、次の世代に渡していく。この脈々と続く「つらなり」にこそ、おおきな価値があるのではないでしょうか。

改めて考える、生きたお金の使い方

ここまでお金についてじっくりと向き合ってみると、一枚のお札にはそれこそ数えきれないほどの人の手と人の思いが込められていることがわかりますね。普段の暮らし、というか今の世の中、お金の「ある」「なし」だけがクローズアップされすぎていて、こんなにも手の込んだ芸術作品であることなど、忘れてしまっているように思います。今回の新しいお札の登場は、改めて「お金ってなんだろう?」を見つめ直す、とても良い機会だと思いますので、スイッチラボでは切り口を変えて、何回かスポットを当てて行こうと思っています。

その手始めが、これ。今手元にあるお札をじっくりしみじみ見てみよう! です。

かくいうラボメンバーも、こんなにマジマジと見たことはありませんでした。残念ながら財布には今の一万円と千円札しかありませんでしたが、見慣れているはずなのに「へぇ〜、こんなふうになっているのか・・・」と、とっても新鮮でした。

中央に入っている「すかし」や、千円札の裏には本栖湖もとすこから眺める富士山が描かれ、一万円札の裏に描かれているのは宇治平等院の鳳凰堂にある鳳凰像です。そして隅々まで描かれている細かい模様、草花などの美しさは、「ずっと見てられる」精密画のようです。こんなにも素敵な絵が描かれているお札、もっとお金を大切にしよう・・・という気持ちが芽生えてきませんか? まずその気持ちを大切にして欲しいと思います。

でも、お金というものは、本当に不思議なもので、こんなにも手の込んだ美しいものであることはわかっていても、いざ買い物にいくと、お札はとたんに「枚数」でしかなくなります。何がいくらで、何が買えて、いくら出ていき、お財布のなかにいくか残るか・・・ということに、意識はフォーカスしてしまいます。

お金の機能は、主に3つあると言われています。「交換」「価値の保存」「価値の尺度」です。

わかりやすくいうと、「支払い」「貯金」「価値の評価を表すモノ」です。もっとも身近なのが「交換」で、これは先ほど行った「買い物」のシーンでみなさんもよく体験していると思います。

1000円の値段が付いている物と、1000円分のお金を「交換」することで、買う側は欲しい物を手に入れることができ、売り手側は1000円という収入を得ることができます。

実にシンプルな機能ですが、この交換する時に、先ほどじっくり見たお札の「美しさ」を加えてみると、今までとはちょっと違った感覚が生まれてくるのではないかと、ラボは思うのです。

「この手のこんだ美しいお札を、果たして目の前のこれと、あっさり交換しても良いのだろうか?」 とか、「せっかく使うなら、もうちょっと別のものにしようかな」とか・・・。この現代社会、お金と切り離しての生活はできませんから、お金との付き合い方は小さい頃から身につけておきたいもの。スイッチラボではそんな「生きたお金の使い方」を、一緒に考えていきたいと思っています。このテーマはまだまだ続きますので、次回はもう一歩突っ込んだ「お金」について深掘りしてみたいと思います。どうぞお楽しみに。

ラボのつぶやき

はい。今回はスイッチラボの「調べスイッチ」が気持ち良いくらい、たくさん入りました。いろいろと情報をキャッチしましたので、今回お伝えできなかったことは、また別の機会にお話したいと思います。

でも、ひとつだけ。333の法則では「食べないと3週間」でしたが、「食べない最高記録は?」という調べスイッチが入りました。すると、あるんですねぇ。ギネスの記録が。

1971年版のギネスブックに載った断食の世界最長記録保持者は、スコットランドのアンガス・バルビエーリさん(男性)。水、茶、ブラックコーヒー、炭酸水とビタミン、ミネラルは取っていたということですが、なんと382日! 1年と22日というとんでもない日数を、何も食べずに生き抜いたのです!

さらに驚いたのが、この長期断食によるダイエット効果。「体重が207㎏から、自身の目標体重である約82kgになった」と書いてあり、思わず数字を2度見してしまいました。なんと125㎏も体重が落ちた計算になります。

すごくないですか? ちなみにこの記録は未だ破られていないとか。ネット検索すると、バルビエーリさんの衝撃の写真も見られますので、ぜひ。ラボ的には一見の価値ありだと思います。いやー、人間ってすごい!!