宝ものは君たちの中にある

スイッチラボの新春特別企画 前編

2024年1月1日掲載

明けましておめでとうございます。2024年の幕開けです。

今年は「辰年」。「のぼり龍」という言葉があるように、上昇気流に乗って、新しくて面白いことが生まれそうで、スイッチラボもワクワクしています。

そんなワクワクをカタチにすべく、新年第1号となるコラムは「新春特別企画」として、MYスイッチの芳賀司(はが つかさ)校長と、MYスイッチのロゴマークとホームページを作った造形作家&デザイナーの鈴木尚和(すずき ひさかず)先生の「新春トーク」をお届けいたします。

今年はどんな年にしたいのか?

今年はどんな自分になりたいか?

ヒントがたくさんです♪

★鈴木尚和先生のプロフィール、「マークに込める思い」はこちらをご覧ください
 https://www.myswitch.co.jp/intothemark/

新年を迎え

鈴木「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」

芳賀「明けましておめでとうございます。昨年は鈴木先生には大変お世話になりました。厳しい中でも将来に向けて、一歩踏み出すことができた年でした」

鈴木「私も芳賀校長、MYスイッチさんには不思議なご縁を感じているので、今年度何ができるか、ともに考え、期待に応えたいと思っています」

芳賀「ありがとうございます!」

鈴木「今年は2024年、令和6年、辰年ですね。干支でいうと「甲辰(きのえたつ)」になります。
干支は12年ごとに巡りますから、辰年に何があったのか12年ごとに振り返ってみたところ、36年前(1988年・昭和63年)は「青函トンネル」が開通した年でした。24年間の年月をかけて全長53.85 kmにも及ぶ世界最強のトンネルをついに完成させたんです。同年に「瀬戸大橋」や「東京ドーム」など、大型の建造物が次々と完成しました。辰年には大事業が達成される、長年努力してきた成果が出るという印象があります」

芳賀「そうでしたね。私も少し調べてみましたら、「東京スカイツリー」ができたのも、「iPS細胞」を発見した山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したのも辰年でした。そして60年前の辰年は、1回目の東京オリンピックの開催、東海道新幹線の開業と、本当に大きなエネルギーのうねりのようなものを感じました」

鈴木「そう、エネルギーがすごいんですよ。で、我がことを改めて振り返ってみたら、1988年は私が独立して、スパッジオワークスを開業した年でもありました」

芳賀「え? 先生の事務所も辰年生まれなのですか?!」

鈴木「まぁ辰年だから起業したわけではなく、たまたま独立した年が辰年だったのですが、今思えばすごい激動の中、辰年の時に独立したんだなぁと思います。なんかこう、がーっと勢いがつく時だったと」

芳賀「何かに後押しされるように、でしょうか」

鈴木「そう。見えない力に持ち上げられるというか、前に進まざるを得ないような。その勢いをキャッチできるかできないかは、自分次第というか、その人次第ですね」

鈴木「私は常に、チャンスというものは、いつも平等に天から降ってきていると思っています。キャッチできる人はグンと飛躍し、キャッチできない人は、チャンスが降ってきていることにすら気づかない」

芳賀「その差はどこにあるのだと、先生は思われますでしょうか?

鈴木「ズバリ!『スイッチ』が入っているかどうかでしょう。これぞ「マイスイッチ」なのかもしれません。返す返すも芳賀校長は、良い名前をつけましたね」

芳賀「ありがとうございます! 「マイスイッチ」という言葉をキャッチできたことに、改めて感謝しています」

スイッチ語録

チャンスは平等に降ってきている。キャッチできるかどうかは自分次第

鈴木「新年を迎えるにあたって『今年はチャレンジの年』という人は多いですが、今年はなぜか特別な感覚があるんですよ。辰は十二支の中で唯一、実在しない架空の動物です。しかも天を駆け、運を操ると言われている。それだけ飛び抜けたなエネルギーに溢れているわけですから、『新たな挑戦をしてこそ吉』という年になるような気がしています。逆に言うと挑戦しない人には吉が来ないというか、天からのご褒美はありませんよ、みたいな(笑)」

スイッチ語録

今年は新しい挑戦してこそ吉。行動しない人にはご褒美はこない。

芳賀「なるほど・・・挑戦してこそ吉。私も同感です」

鈴木「挑戦といえば、芳賀校長ご自身も、相当なチャレンジャーとお見受けします。まずはMYスイッチを設立し、毎年挑戦を続けていらっしゃる姿には、頭が下がります。今年はどんな挑戦をされるのでしょうか?」

芳賀「こうして今があるのも、これまでご指導いただいた方々のご支援の賜物です。まず決まっているのが、今年は、新しい教室を2教室、オープンする予定です」

鈴木「すごいじゃないですか! 大躍進ですね。少子化が進み、教育事業はますます厳しい時代だと言われている中、こうして守りに入らず、挑戦し続けられる秘訣は何かあるのでしょうか?」

芳賀「先がわかっていれば、みな楽々と、さまざまなコトに挑戦すると思いますが、現実はそんなことがあるはずもなく、先のことは誰にもわかりません。もちろん私自身、気持ちが揺れる、迷うことも日常茶飯事です。でも、迷ったとしても、軸の部分に立ち戻ってやり続けるためには、『信じる』ほかはないと思っております」

鈴木「信じる心。信念ですね」

芳賀「自分自身を信じる。一緒にやってくれている仲間を信じる。関わってくださる全ての方々を信じることが土台となりますが、それに加え、我々を取り巻く社会環境であったり、経済環境であったり、様々な『運』も影響すると思います。そういったものも含めて『信じ続ける』ことこそが、2024年の目標であり、最大のテーマであると感じています」

鈴木「信じるだけではなく、信じることを続ける・・・。いい言葉ですね。何事も継続は力なりだと私も思っていますが、信じる力の継続はものすごいパワーを生み出しそうですね。辰年のパワーと相性抜群! 一層強い力になるように感じます」

スイッチ語録

先など見えない。見えないからこそ、その先にあるものを信じぬくのだ。

「信じる力」はどこから来る?

鈴木「『信じる』という言葉、私もとても大切だと思っていて、『自信』という言葉も「自らを信じる」と書きますよね。信じるものがある、信じられるものがあるからこそ、自分自身の『自信』につながるのではないでしょうか」

芳賀「おっしゃる通り、私も同じ思いです」

鈴木「私は子どもの頃からなぜか『根拠のない自信』がありまして(笑) 柔道も弱かったし、ラグビーも下手っぴだったのですが、いつも自信満々で、負けても動じない。次は勝つぞ!みたいにいつも思っていたんです。自分でもおかしいぞ? あれ?この自信はどこから来るんだ?・・・と、常々不思議に思っていたのですが、ある時、はたと気づいたんです」

鈴木「それは『大丈夫!大丈夫! お前ならできる!!』という言葉です。周りにいる大人たち、先輩、柔道の先生、ラグビーのコーチ、両親や祖父母もそうでした。いつも「お前なら大丈夫」と、背中を押してくれていたんです」

芳賀「それは心強かったことでしょう」

鈴木「最も印象に残っているのが、23歳でNYに単身乗り込んだ時のことです。NY在住の年の離れた先輩がいて、実に様々なことを教えてくれました。その時、口癖のように『大丈夫だから!』と言い続けてくれたんです。
行ったこともない場所に一人でいくことになったときも、「教えた通りにやれば大丈夫。鈴木ならできる!」
「英語がよくわからない」と弱気な発言をすれば、「いいんだよ、わかんなくなって。とにかくやってみろ、大丈夫だから!」
という感じです。
ことあるごとに大丈夫、大丈夫と言われ続けていると、不思議なことに『あれ? 大丈夫かも?・・・」と思えるようになってくる。そして勇気を出してやってみる。できた。もっとやってみる。またできた。さらにチャレンジする。クリアする。やった、できた!!
この積み重ねが、今の自分の自信の源になったのだと思います」

スイッチ語録

『大丈夫』は魔法の言葉。言い続ければ自信に繋がる。

鈴木「ですから、親御さんにお願いしたいのは、お子さんに『大丈夫』という言葉を、ことあるごとに言い続けて欲しいんです。大丈夫、大丈夫、もう大丈夫だよ・・・後ろからエールを送り続けることで、お子さんは暗示にかかる。ま、私なんか単純なのですぐに暗示にかかっちゃうんですが(笑)、自分は大丈夫だと思えるって、とっても大切なことだと思うんです」

芳賀「逆に、周りの大人たちが自信なさそうにしていると、その不安はすぐに伝播して、子供たちは敏感にキャッチしますね」

鈴木「信じるという文字は、『人が言う』と書きますよね。信じてるよ、あなたは大丈夫だよと、直接言葉で本人に伝えることが、どれほどの明るい未来を産むことか! 私はこれを『大丈夫神話』と呼んでいます(笑)」

スイッチ語録

『人が言う』と書いて『信』という文字になる

芳賀「大丈夫神話、素晴らしいです! 信じていても、言葉にしなければ伝わらないことも多いことは、日々実感しております」

鈴木「『大丈夫』という言葉は、日常でもよく使いますし、今では否定の意味、「いりません」「いやです」という意味でも「大丈夫です」と使ったりもしますよね。言葉は時代とともに変化するものなので、それも理解していますが、本来は肯定の意味で使うべき言葉だし、相手を信じる気持ち、思いやる心、愛情表現のひとつだと私は思っています」

芳賀「まさにおっしゃる通りで、私たちも教育サービスに関わる者としては、一緒にやってくれているスタッフとともに、お預かりしている子供たちを『どこまで信じることができるか?』、そして信じた上で『何を提供できるか?』を常に考えていかなくてはならないと思っています。そういった意味では、周りの大人たちの責任は重大だなと感じております」

スイッチ語録

「大丈夫」が神話を作る

「信じる心」を教えてくれたもの

芳賀「さきほどから『信じる』こといついてお話ししておりますが、本日、ぜひ鈴木先生と共に語り合いたいと思い、本を持参しました。大変お世話になってきた私の師の松岡浩先生からいただいた本なのですが」

鈴木「田中良雄さんの『職業と人生―住友古老の知恵』ですね。以前、芳賀校長からお薦めされて、私も読みました。うなずくことばかりでした。いい本ですよね」

芳賀「ありがとうございます。この本の中には『弓の話』という一節がございます。文字通り弓道の話なのですが、読むたびに深く感銘を受け、もう何度読み返したかわからないほどです」

ー『職業と人生―住友古老の知恵』田中良雄著 ごま書房―

『弓の話』とは
田中良雄著『職業と人生―住友古老の知恵』の中の第二章にある一節。ドイツの哲学者オイゲン・ヘリゲルと弓道の師匠と話。ドイツに生まれたにも関わらず、弓道をよく理解し厳しい、訓練の末、技術を習得した。さらに上を目指そうと弓道の達人に師事したところ、師匠が最初にヘリゲルに言った言葉は「弓術はスポーツではない」「あなたは弓を腕の力で引いてはいけない。心で引くことを学ばなければならない」であった。何年たっても弓道の奥義を教えてはもらえず、それどころか、日頃の訓練の成果と自信満々に放った矢を見て、そっと弓矢をヘリゲルから取り上げ・・・。
そういったヘリゲルと師匠のやり取りの中から、「道」とは何か、道に宿る精神とは何か、そして「信じる」とは何かを探っていく。また、この話はオイゲン・ヘリゲル著『弓と禅』(福村出版 改版1981/11/1)として出版されている。

芳賀「この本が私たちに教えてくれているのが、『信』の深さです。単に技術を学ぶだけではなく、技を磨くと同時に心を学ぶ。相対し方を学ぶ。心が整えば、自ずと技は磨かれる。でも、技だけを磨いても、心は成長するとは限らない。そのバランス感覚こそが日本独自の感性であり、精神性なのだと思います」

鈴木「わかります。それを表しているのが、師匠が最初にいった「弓術はスポーツではない」という一言に凝縮していると思います。暗闇の中でスパーン!と師匠の矢が的を射るくだりは、読んでいて鳥肌が立ちました。これぞ日本の武道の精神なのだと」

芳賀「はい。『道(どう)』の精神はわかりにくい世界ではありますが、この奥深さに興味を持たれる外国の方も増えました」

鈴木「そう! 今の時代、大切なのは『道』なんです! 外国の注目度に反比例するように、残念ながら日本国内ではかなり薄まってしまっていますが、薄くなっているだけで、消えてはいない。心の種はそれぞれの胸の中にちゃんとあると思っています。その種を大切にし、発芽するように育て見守りっていくのが、我々大人の役割なんですよね」

スイッチ語録

『道』の理解は薄まったが、薄くなっただけ。消えたわけではない。

鈴木「私は柔道と書道の経験がありますが、芳賀校長はいかがですか?」

芳賀「私も小学生の頃、書道といますか、習字ですね、少しやっておりました」

鈴木「『道』の話になったことですし、せっかくなので筆を取ってみたらいかがですか? 『今年の漢字』ってありますよね。昨年は『税』でしたが、今年を表す一文字を書いてみてはいかがですか?」

芳賀「実は、そんな気持ちになりまして、この正月に書き初めというのでしょうか。約40年ぶりに筆を取ってみました」

鈴木「おお、そうでしたか! ぜひ拝見したい!」

芳賀「こちらです」

鈴木「やはりこの文字ですね。力強い中にも優しさがあり、芳賀校長のお人柄が滲み出ていますね」

芳賀「現役のアーティストにそんなふうに言っていただけて、恐縮至極です」

鈴木「墨の香りっていいですよね。子供の頃はなんで何十分もかけて墨を磨(す)らなければならないんだ。墨汁使えばすぐに書けるのに、何と無駄なことをさせるんだ・・・と思っていました。でも、大人になるにつれ、墨を磨る時間の大切さがわかってきました。書道とは書くことにあらず。墨を磨る時間を持つことで、日常の諸々をいったんわきに置き、自分の真ん中に向き合う。素の自分に出会ったときに、自分の中の力、瞬発力とか創造力とか、そういった『実力』を出すことができる。『道』がつくものは、日々、その訓練をしているのだと気が付きました」

芳賀「今回、私も墨を磨るところから始めました。墨の香りとともに次第に心が落ち着いていき・・・、今風に言うなら『整う』という心境だと思います」

鈴木「そうそう、この『自分を整える術(すべ)』を持っていることが、ここ一番のときに実力を発揮するための、大きなよりどころになりますよね。受験なんて最たるものではないでしょうか。ああ、本番への備え方、これも語りたいなぁ〜(笑)」

芳賀「ぜひお願いします!(笑)」

スイッチ語録

自分が整うと実力が出せる。『道』はその訓練のひとつ

鈴木「ちなみに、墨のあの独特な香りをもたらしているのは、「龍脳(りゅうのう)」とよばれる原料で、鎮静効果があり、墨をする時間が心を整える時間となります。今では天然物はとても貴重なものとなっています」

芳賀「龍脳、龍の脳ですか。まさに辰年ならではですね。約40年ぶりに書を書こうと思ったのも、辰年のパワーなのかもしれません(笑)」

芳賀「ところで、鈴木先生の今年の1文字は?」

鈴木「うーん、私は文字というより、色で言ってもいいですか?」

芳賀「もちろんです。さすが、アーティストならではでの発想ですね」

鈴木「大きな意味での私のテーマカラーは『赤』なんですが、毎年ふっと降ってくる色があります。2024年は『金色と紫』です。こういったテーマカラーを決めておくと、いろんな場面で便利なんですよ」

芳賀「便利・・・と言いますと?」

鈴木「人生ってチョイスの連続じゃないですか。どちらもいいけど、ひとつに決めなければならない。そんな時に金や紫が入ってたいら、即「こっち!」と迷わず選択できるんです。不思議なものでテーマにしているとその色が何かと目に入り、いい関係が生まれたりします」

スイッチ語録

テーマを持つと迷わなくなる。

鈴木「あと、テーマを作ることで、自分の中で『言い切る』習慣をつけるというのかな。今年はこうだ!これで行く!と、はっきりとした指針を持っておくと、自分も動きやすいと思うんですよね」

芳賀「なかなか『言い切る』にも勇気が必要ですし、自分の直感を信じないと、言い切ることも難しいですよね」

鈴木「ええ。決めること、言い切ることが苦手人は、意外と多いですよね。でも、決めなきゃ先に進まない。だって人生は選択だらけですから。だからこそ『今年はこれで行く!』と決めることは、自分を信じるいい練習になるんじゃないでしょうか」

スイッチ語録

テーマは「言い切る」練習だ

芳賀「決めることでスイッチが入ると・・・」

鈴木「あ、先に言われちゃった(笑) そうです。 こうだ!と決める。決めることで、スイッチ、特に自分の中にある『マイスイッチ』が、自然と入るようにできているんです」

スイッチ語録

スイッチは「決める」と入る

芳賀「ありがとうございます。私も年の初めに、こうして先生とお話しさせていただいているおかげで、「マイスイッチ」が入りました(笑)」

ラボのつぶやき

明けましておめでとうございます。スイッチラボの新春トークはいかがでしたか? 芳賀校長と鈴木先生の会話は、ここから益々盛り上がり、MYスイッチが目指す教育の話へと発展していきます。この続きは、次回、2024年1月15日更新のコラムにて、ご紹介いたします。どうぞお楽しみに♪