宝ものは君たちの中にある

コラム『ヤバい!もう12月?! 〜不安の正体に迫る〜』

2023年12月1日掲載

こんにちは。MYスイッチのスイッチラボです。

早いもので今日から師走しわす。2023年最後の1ヶ月となりました。あと30回も寝れば「お正月〜♪」なのですから、まさに光陰こういんごとし。時の早さに改めて驚いております。

この時期になると、何かにせかされるようで、「ヤバいっ、もう12月?!」「1年が終わっちゃう!」と、不安やあせりを感じる人も多いと思います。大した予定がなくてもそう思うのですから、人生の一大イベントのひとつである受験を控えている皆さんにとってはなおのことですよね。

そこで、今回のスイッチラボでは、ズバリ「不安の正体」に迫ってみたいと思います。なぜ人は「ヤバい」と思うのか? 不安をなくす一番の方法は何か? そのあたりを深掘りしてみようと思います。ここでしか読めない情報をギューっと詰め込みましたので、何かと忙しい時期ではありますが、なんとか時間をやりくりして、読んでいただけると嬉しいです。

なぜ人は「ヤバい」と思うのか?

「ヤバい」

実に便利な言葉ですよね。「恐ろしく素晴らしい」という意味から、「超絶BAD(とっても悪い)」な状態まで、これほど振り幅が大きい言葉は、他にはないように思います。さらには重め、軽めにも簡単にアレンジできるんですから、文化的な意味での良い悪いは置いておいて、日本語の多くが「ヤバい」に変換されてしまう現象も、スイッチラボ的にとても興味深く感じています。

「ヤバい」はいつから使われていたのかを調べてみると、江戸時代だったことがわかりました。当時は「ヤバい」ではなく「やばなこと」という表現でしたが、十返舎じっぺんしゃ 一九いっくが書いた「東海道中とうかいどうちゅう膝栗毛」ひざくりげにこのフレーズが出てきています。

そこでは「まずい」「悪い」「厄介な」「不都合な」といったマイナスの意味で使われており、それは今でも王道的な使い方ですよね。ちなみに「ヤバい」が肯定的な意味で使われるようになったのは、1990年代、平成になったあたりからだと言われています。

このまま放っておくと、「ヤバい」だけで誌面が埋め尽くされそうですので(笑)、本題に戻りましょう。今回スイッチラボが注目するヤバさは、「不安」や「あせり」といったマイナスの感情に焦点を絞ります。

では、ここで質問です。皆さんはどんな時に不安になりますか?
ちょっと読むのを中断して、空を見上げながら考えてみてください。

なぜ上を向くのか? それは下を向きながら不安について考えると、どんどんリアルになってしまうから。なので、明るく、どこか人ごとのような感覚で、思いつくまま書き出してみましょう。

前回のコラムでも好評だったので(笑)、今回も質問&実際に手を動かすをご提案してみましたが、ただ「読む」だけよりも、「読む」→「考える」→「答える」という流れ、すなわち「インプット」→「熟成(自分と向き合う)」→「アウトプット」という3段階で進めていく読書法を、スイッチラボでは積極的にお勧めしています。

「不安、不安ねぇ・・・」と、口の中でボソボソ言いながら、スイッチラボメンバーが書き出した不安要素は、こんな感じになりました。

・初めての場所、慣れない場所に行く時

・初めての人に会う時

・初めてのことをやる時

・テスト、試験、試合など、「勝負の時」の前

・慣れない乗り物に乗る時

・大事なイベントに参加する時

・文化祭や体育祭など、人前で発表をする時

・先生に当てられそうになった時

・デートの前

「人生」「将来」「老後」といった漠然としたものも出ましたが、それを語ると話がややこしくなるので、具体的なシーンが思い浮かぶものに絞りました。
不安要素は十人十色。他の人はまったく不安に思わなくても、自分は不安に思う。その気持ちを大切にしてください。まずは「どんな時に自分は不安を感じるのか」を、このチャンスに「見える化」しておいてくださいね。

実は、これを実際にやるだけで、あなたの不安はもう、今までの不安ではなくなっているのです。

分けるとわかる不安の正体 
〜不安が出るのは当たり前〜

では、先に出した不安要素に「心の声」をプラスしてみましょう。

・初めての場所、慣れない場所に行く時
  →(ちゃんと辿りづけるかな? 迷子になったらどうしよう)

・初めての人に会う時
  →(仲良くなれるかな? 嫌われたらどうしよう)

・初めてのことをやる時
  →(上手くできるかな? 失敗したらどうしよう)

・テストや試合など、「勝負の時」の前
  →(できなかったらどうしよう。負けたらどうしよう)

・慣れない乗り物に乗る時
  →(ちゃんと乗れるかな? 途中で止まったり、気持ち悪くなったらどうしよう)

・大事なイベントに参加するとき
  →(遅刻したらどうしよう 参加できなくなったらどうしよう)

・先生に当てられそうになった時
  →(うまくできるかな? 失敗したらどうしよう。笑われたらどうしよう)

・デートの前
  →(よろこんでもらえるかな? 嫌われたらどうしよう)

こうしてさまざまな「心の声」に耳を傾けていくと、実に多くの共通項が見えてきますよね。そうです。「○○したらどうしよう」という、一つの感情に支配されているのです。

しかも、「○○したら」と言っているくらいですから、現実にはまだ起きてはいません。未来のことを勝手に憂い、心配しているだけなんですね。

そうなんです! まだ起きてないことを、現時点で変に心配することはないんです。
未来は今が作る! 未来は今の考え、行動を変えることで、いくらでも変えることができるんですから!!

とはいえ、不安に思う気持ちを、簡単に止めることはできませんよね。心配事って、次から次へと出てきてしまい、しまいにはその不安で押しつぶされそうになって、足がすくんで動けなくなってしまうことだってあるでしょう。

誰だって未知なる世界は怖いもの。だって「未だ知らない」のですから、不安に思うのは人としての正しい反応。もっというと生物の「正常な自己防衛システム」です。むしろ「怖くもなんともない」という方がよっぽど危険だとスイッチラボは思うのです。

ですから、いろんなことに不安を抱くのは当たり前。そんな自分を「私はダメだ」「弱い人間だ」なんて思っちゃダメですよ。むしろ想像力が豊かで素晴らしい、生物として高度な才能を獲得しているのだと、しっかりと自分を認めてあげてくださいね。

不安に思うことがダメなのではなく、ダメというか、やって欲しくないのは、不安を「ほったらかしにする」こと、不安を「見て見ぬふりをする」ことです。

ちょっと考えても見てください。不安と共に過ごし、寝ても不安、起きても不安。いつも「○○したらどうしよう」と思っている毎日だったら、精神的にツラいですよね。

不安は放っておくと、どんどん大きくなって、得体の知れないものへと成長していきます。スタートはちょっとした心配事でも、大きく育ってしまうと、扱いがややこしくなるし、解消するのもが大変です。

そうなる前に手を打とう!というのが、スイッチラボの基本的な考え方です。不安を解消するために必要なのは、気合いでも根性でもなく、技、テクニックを身につけることです。それを自分のものとして、自然に使いこなせるようになれば、「不安解消スイッチ」がすんなり、カチッと入れられるようになるのです。その第一歩が「不安を分けて考える」ことなんですね。

大丈夫。不安は自分で消せるのだ!

それでは、ここからは具体的にスイッチラボ的「不安解消スイッチ」の入れ方を、皆さんにご伝授していきましょう。

コードネームは「バラバラ大作戦」 合言葉は「ちょっと待って」です。
不安に思う気持ちが出てきたら、「ちょっと待って」と立ち止まり、その「逆」を行けばいいのです。

作戦は、次のように3段階で進んでいくのがベストです。

●作戦その1:自分に聞く
わー、ヤバい。マズいマズい。○○だったらどうしよう。・・・そんな気持ちが湧いてきたら、まずはあわてず深呼吸。そして「ちょっと待って」といったん立ち止まり、「今、自分が不安に思っている」ことを認めてあげます。そうそう、私は今、不安なのだ、と。
それからめちゃくちゃ素朴に冷静に、自分に聞いてみてください。
「今、私、何を不安に思っているんだろう?」と。

●作戦その2:細かく切り刻む
自分が何に対して不安に思っているかが、なんとなくわかったら、さぁ、紙とペンの出番です(もちろんスマホでも可)。最初にやったように、どんな時に不安になるかを、できるだけ細かくしていきます。玉ねぎを丸ごと食べるのはちょっとイヤだけど、細かく微塵切りしたら食べられるのと同じですね。できる限り切り刻んでしまいましょう。

●作戦その3:心配材料をつぶしていく
不安に思う気持ちがどんどん小さくなっていったら、もうこっちのものです。相手は得体の知れぬ「不安おばけ」ではなく、とっても小さくて、吹けば飛ぶような軽い存在なったはずです。ふっ!と息を吹きかけて飛ばしてしまいましょう。そして「○○だったらどうしよう」の「逆」の手を考えていくのです。

ここから先は、ゲームの攻略法の感覚と似ていると思います。
たとえば、「迷ったらどうしよう」と不安に思ったならば、「迷わないように」すればいだけ! 今はスマホやパソコンといった強い味方もいるわけですから、それらを駆使すれば、さほど苦労せずに、バッチリ防御策が取れると思います。

迷わないためには
・事前に地図を何度も見て場所を確認する
・行く場所の住所をしっかりチェックする
・交通機関を確認する

この交通機関も、途中で人身事故などが発生して止まってしまうかもしれません。そうなった場合でも「お手上げ」とならないように、何パターンか行き方をチェックしておくといいでしょう。

そして、もし可能であれば
・一回、自力でその場所に行ってみる(同じ曜日、同じ時間)

ここまでやれば怖いもの無し! ゼロ回と1回、数字にすればたった「1」の違いですが、「一回もやった(行った)がない」のと「一回やった(行った)ことがある」には大きな大きな違いがあるんです。この違いは、実際にやってみないとわからないので、一度ダマされたと思って(決してダマしませんが)、自分で体感してみてください。

繰り返しになりますが、不安に思う気持ちを止めることは誰にもできません。「不安に思わないようにしよう」「心配するのをやめよう」などという無駄な抵抗は今すぐ手放して、
「不安に思っても大丈夫」と思える自分になることに、自分の力を使って欲しいと思います。

とはいっても、急にはできませんよね。なぜなら、不安に思う気持ちは、「思考のクセ」なので、急には治らないからです。ここは「筋トレ」のように少しずつジワジワと、体力をつけていくしかありません。たとえば、

お腹が痛くなったら?>>>薬を持っておく。出かける前に冷たいものを飲まない。さらにはトイレの場所を確認しておけばバッチリ、ですよね。

消しゴムを落としたら?>>>落としても大丈夫なように、消しゴムは2〜3個持っておく。学校の机、もしくはロッカーの中に常に予備を入れておく。

こんな感じに、ふと頭によぎる不安要素をバラバラにしていく「筋トレ」を、ちょっとずつでも積み上げていって欲しいと思います。そうすると、だんだんと 不安抗体といいますか、不安を跳ね除ける体力がついてきて、不安を分析していくことが面白くなっていくはずです。

不安と向き合うことは、自分と向き合うこと。逆に言えば、不安があるから自分の気持ちと向き合えるのです。この機会にぜひ「自分謎解きゲーム」に参加して、絶妙な攻略法を考えてみてください。「不安解消スイッチ」は、あなたが楽にカチッと押してくれるのを待っているはずです。

ラボのつぶやき

MYスイッチのスイッチラボメンバーの中には、大いなる方向音痴さんがいます。でも、遅刻もしませんし、道にも迷いません。それはなぜ?と聞いてみると「自分が方向音痴だということを自覚している」からだとか。迷うに決まっているので、早く出る。迷うに決まっているから、人に尋ねられる自分になる。迷うに決まっているから、飴やチョコはいつも持っている(安心するからね)。迷うに決まっているから、前日に脳内シミュレーションを欠かさない。などなど。

実体験だけに「なるほど!」と思わず手を打ちたくなるようなことが、たくさん聞けました。そのエッセンスは今回のコラムの中に凝縮させたつもりですが、まだまだ面白いエピソードもありましたので、また別の角度から「深掘り」して、お伝えしたいと思います。どうぞお楽しみに♪