宝ものは君たちの中にある

コラム:2025年はどんな年?〜干支についてのホンキの基礎知識〜

2024年12月15日掲載

こんにちは。MYスイッチのスイッチラボです。

あっ!という間に月日は巡り、今年最後の更新となりました。皆さんにとって、2024年(令和6年)はどんな一年でしたか? これから新年を迎えるにあたり、大掃除やお買い物などの準備に加え、クリスマスや忘年会などのイベントも多く、何かと忙しい日々を送られると思います。まさに「師走(しわす)」です。

今回は「お正月カウントダウン回」として、「干支(えと)」について深掘りしてみたいと思います。皆さんも「今年はたつ年、来年はへび年」くらいは知っていると思いますが、なぜ1年ごとに担当の動物が変わるのか、なぜ動物の名前がつているのかなど、不思議に思ったことはありませんか?

ゆく年くる年をリアルに体験できるこの時期だからこそ、改めて「干支」について考えてみたいと思います。毎年振り返って読めるようにまとめましたので、年末になったら読み返す永久保存版としてお役立ていただければうれしいです。

今年は辰年 来年は巳年 十二支ってなんだ?

今年はたつ、来年はへび。では、12年分を正しい順番でソラでいうことはできますか?もちろん!という方も、ちょっと自信がないなぁと思った方も、一緒に「十二支(じゅうにし)」を声を出して元気よく言ってみましょう。

ね うし とら う(うさぎ) たつ み(へび) うま ひつじ さる とり いぬ い(いのしし)

はい。お見事♪ この順番は変わることがありません。「十二支」という名前の通り、12年でぐるりとひとまわりして、また「ね、うし、とら・・・」の順に繰り返されていきます。

皆さんは、ご自身の生まれた年は何か、ご存じですか? もしわからなかったら、親御さんやご家族の方に聞いてみてください。ちなみに、2024年は辰年(たつどし)でした。龍(りゅう)にちなんで「龍年」や「竜年」と書いたりもしますが、正式には辰年と書きます。ですから、今年生まれた子はみな「辰年生まれ」ということになります(正確には2024年2月4日(立春)〜2025年2月3日(節分)までに生まれた子)。そして来年は「み(へび)年」。漢字で書くと「巳年」です。へびなのに「蛇」ではなく「巳」という漢字を使っているのは、十二支自体が古代中国から伝わった文化だからです。ですから、動物としては馴染みあるのに、見慣れない漢字を使います。改めて十二支を正しい漢字で書いてみると、次のようになります。

子(ね) 丑(うし) 寅(とら)、卯(う:うさぎ)、辰(たつ) 巳(み:へび) 午(うま) 未(ひつじ) 申(さる) 酉(とり) 戌(いぬ) 亥(い:いのしし)

ねずみは子供の「子」と書くし、うしは「牛」ではなく「丑」、うまも「馬」ではなく「午」と書きます。ひつじは「羊」ではなく未来の「未」だし、さるは「猿」ではなく「申す」の「申」、とりも「鳥」ではなく「酉」です。いぬも犬ではなく「戌」と書き、ラストのいのししは「猪」ではなく「亥(がい)」という漢字です。

なんか変なのー。わかりづら〜い。最初はそう思うかもしれませんね。もちろんスイッチラボもそう思いました。でも、なぜにこのようなわかりづらい漢字を使っているのかというと、実は動物になぞらえたのは「あとづけ」で、そもそも十二支は、時間や方角を表すもので、昔の時計や方位盤には、この漢字が使われていたんです。

ちなみに、この「午(うま)」という漢字、実は私たちの生活に、うま〜く溶け込んでいます(うまだけに 笑)。この漢字をよく見てください。どこかで見た覚えが・・・?!

そうです。「午前 正午 午後」と、時間を表す言葉に使われていますよね。今は1日24時間を数字で表しますが、昔、といっても明治の初め頃までは、「子 丑 寅 卯・・・」で時間を表していました。単位が12しかないので、カウントは2時間ごと。12時〜午後2時を「午の刻(うまのこく)」と呼んでいたのです。

カレンダーが今使われている太陽暦に切り替わった明治5年から、時間の数え方も変わり、時計から十二支が消えましたが、「午前 正午 午後」という分け方は昔の名残として、今も使われているんです。これ、豆知識その1。ここまでちゃんと知っている人は少ないと思いますので、ぜひお友達に教えてあげてくださいね。すごーい、物知り〜と、キラキラした目で見られるかもしれません(笑)。

少し話がそれましたので、本筋に戻ります。十二支は昔の生活の一部ではありましたが、皆さんが今感じているように、むずかしいし覚えにくい。そこで、昔の頭の良い人が「動物レース」の物語を作って、動物に当てはめることにしたのです。それはこんなストーリーです。

むかしむかし、そのむかし、神様が「動物たちを使って12年のサイクルを作ろう」と考えました。順番はズバリ「早いもの順」。元日の早朝に、神様の家の門に到着した順に、1年のシンボルになってもらうというお達しを出したのです。足の遅い牛は早くから出発した甲斐あって、一位で到着か?と思った次の瞬間、牛の背中にこっそり乗っかっていた小さなネズミがびょーんと飛び出して、ちゃっかり一位をゲット。ずるーい!という意見もありましたが、知恵を働かせたとも言えるので、神様は宣言通り「早いもの順」でネズミを一番と決めました。以下、ウシ、トラ、ウサギ・・・と順番が決まったのでした。

ちなみに、なぜ「猫」がいないのか、不思議に思いますよね。これも諸説あるのですが、ネズミが猫に「集合は次の日だよ」と嘘をつき、猫はすっかり騙されてしまいました。このことがあってから、猫はネズミを見ると追いかけるようになったとか。

「トムとジェリー」の歴史版といったところでしょうか(笑)。猫がネズミを追いかける習性にこんなストーリーが隠されているとは、なんだか面白いし、親しみが持てますよね。興味をもったらもっと深掘りしてみてください。ここでは紙面の関係上簡素化しましたので、もっと楽しいエピソードを知ることができますよ。

ちょっと難しい話。干支(えと)の「干」ってなんだ?

さて、年末年始になると「来年の干支(えと)は・・・」とよく言われますが、十二支だけならわざわざ「干支(えと)」なんて言わなくてもいいですよね。漢字をよく見ていただくとわかるように、先ほど説明した「十二支」は「支」の方です。では「干」って一体・・・?!

ここでまた、馴染みのない「モノを数える単位」が出てきます。名前は「十干(じっかん)」。「じゅっかん」とも読まれますが、正式には「じっかん」と読みます。これも時刻を表す十二支と同様に、明治の初期まではフツーに、物事の順番や区分を示す記号(数字)として使われていました。今では「10カウント」といえば、「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10」と数字で書くのが当たり前ですが、これを昔風に、「十干」を使って10カウントしてみましょう(ジッカウント、なんちゃって笑)。では、いきますよー。

甲(こう) 乙(おつ) 丙(へい) 丁(てい) 戊(ぼ) 己(き) 庚(こう) 辛(しん) 壬(じん) 癸(き)

1が甲、2が乙、3が丙・・・なのですが、改めてみると「マジかー」って思うほど難しく感じますよね。スイッチラボも最初見た時は、正直のけぞりました。なんとなくは知っていたものの、馴染みがなさすぎて、すんなり読むこともできませんでした。

でも、このカウント方法も意外と私たちの生活に馴染んでいて、昭和の初め、戦前までは学校の成績を「甲乙丙丁」で表していました。意味としては、甲がトップ。以下だんだん評価が低くなっていきます。おじいちゃん、おばあちゃん、ご高齢の親戚の方などは、リアル体験者がいらっしゃるかもしれませんね。お正月に集まった時に、ぜひ聞いてみてください。

また、現在でも契約書に「甲は乙に対し・・・」といった表現をしますし、モノのランク付けで「甲=最高品質」として使われています。十干の読み方は、わざわざ暗記する必要はないと思いますが、「こういうカウント方法もある」と理解しておくだけでも、意識が変わると思います。とはいえ、さらっと十干で10まで数えられたら、なんだかとってもかっこいいですね。ということで、覚える努力をしているラボメンバーもおりますが、「甲乙丙丁戊己(こうおつへいていぼき)」まではすんなりいくものの、後半に苦労しているようです。

ようやく「干支」の全貌が見える!

見慣れない漢字がいっぱい出てきたので、脳のシャッターをガラガラと下ろしたくなったかもしれませんが、もう少しだけお付き合いください。ここからがようやく「干支」の話になります。前フリ、ながっ!!(笑) でも、途中を飛ばしてしまうと余計にわかりづらくなるので、ご容赦ください。

干支(えと)というのは、「十干」と「十二支」という2種類のカウント方法を組み合わせて表します。たとえば、今年の干支は「甲辰」。「こうしん」とも読みますが、干支を表す時は訓読みにするのがならわしで、「きのえたつ」と読みます。この読み方がまた馴染みが薄くて難しく感じるのですが、まぁ、ひとつのルールなので、「そういうものなのだ」と、まるっと受け止めてください。参考までに、十干の音読みを記します。

甲(きのえ) 乙(きのと) 丙(ひのえ) 丁(ひのと) 戊(つちのえ) 己(つちのと) 庚(かのえ) 辛(かのと) 壬(みずのえ) 癸(みずのと)

初めて見る、聞くという人もたくさんいると思いますので、「へぇ〜」と眺めるくらいの距離感でいていただければ十分です。でも、音読みをぼんやり眺めていると、よく知っている言葉が並んでいるのに気づきませんか?

最初の文字を読んでいくと、「き、ひ、つち、か、みず」ですよね。あれ? 「か」は謎ですが、他は全部聞いたことあるような・・・?

これを漢字で書くと、ぐっとわかりやすくなります。

「き→木、ひ→火、つち→土、か→金、みず→水」

「か」は「金」だったのですね。整理すると、こうなります。

木のチーム=甲(きのえ)  乙(きのと)

火のチーム=丙(ひのえ)  丁(ひのと)

土のチーム=丁(ひのと)  戊(つちのえ)

金のチーム=庚(かのえ)  辛(かのと)

水のチーム=壬(みずのえ) 癸(みずのと)

なんと「木・火・土・金・水」! これは自然をかたちづくり、人間の性質の元となる『5大要素』と言われるものです。つまり十干は「木・火・土・金・水」という、最も根底となる性質(エネルギーの質)を表すものだったのです!

さらに、この5つの要素は2個セットになっていて、それぞれ「○○え」と「○○と」の2種類あります。これを漢字にすると「え=兄(あに)」、「と=弟(おとうと)」です。

要するに「甲」は「木のチームのお兄ちゃん」で、「乙」は「木のチームの弟」なんです。ちょっと難しくいうと、お兄ちゃんは「陽」で弟は「陰」。これは良し悪しでも優劣でもなく「そういう性質を持っている」ということです。

イメージするなら、お兄ちゃんは太陽、弟は月。お兄ちゃんは社交的(エネルギーが外向き)で、弟は内向的(エネルギーが内向き)といった感じでしょうか。明るくて積極的で力強いお兄ちゃんと、穏やかで優しくて、それでいて芯が強くて柔軟な弟。この違った性質を持つ人間同士が助け合っていくことで、絶妙なバランスが生まれるのですね。

このように、人が生まれ持った性質を読む解くことで個性を知り、向き不向きを知り、相性を知っていくことが、占いのベースになっていると言われます。「木・火・土・金・水」にはそれぞれ深くさまざまな意味があるので、その解釈は難しく、一概には言えないところもありますが、その基本的なエッセンスだけでも理解しておくと、1年をさらに有意義に過ごすことができるのではないかと、スイッチラボは思います。

その人がどんな性質を持っているのか、どんな年に生まれたのか、その年はエネルギーなのか・・・。そういう目で干支を見ていくと、今までとは違った感覚が生まれてくるのではないでしょうか。

2025年「乙巳(きのとみ)」は、どんな一年に?

それでは、いよいよ来年の干支をスイッチラボ的に深読みしてみたいと思います。ここではあくまでも「こういうエネルギーを持っているよ」ということをお伝えしていきます。占いでも未来の予言でもありませんので、そこのところは勘違いしないでくださいね。

では、改めて十干と十二支を並べてみましょう。

甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸

子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥

やっぱり少し難しく感じますね。これはもう、慣れるしかありません(笑)

ちなみに、最初に「甲子」という干支がありますが、高校球児たちが熱い戦いを繰り広げる「甲子園球場」は、まさにこの「甲子」からきています。球場が建設された1924年(大正13年)は「甲子(きのえね)」の年でした。「甲子」は十干も十二支も「一番目」であり、新しいスタートをきるにふさわしいということから、「甲子園」と命名されたそうです。これ、豆知識その2ですので、機会があったらお友達に教えてあげましょう(笑)

今年(2024年)は「甲辰(きのえたつ)」なので、並べ直してみると、こんな形になります。

来年(2025年)は「乙巳(きのとみ)」、再来年の2026年は「丙午(ひのえうま)」であることがわかります。

過去に遡ってみましょうか。昨年(2023年)は癸卯(みずのとう)」、一昨年(2022年)は「壬寅(みずのえとら)」、その前の2021年は「辛丑(かのとうし)」、そして2020年は「庚子(かのえね)」です。

そして来年(2025年)は「乙巳(きのとみ)」です。「乙=きのと=木の弟」&巳(み・へび)年ということになります。では、それぞれどんな性質を持っているのでしょうか?

◯「乙(きのと)」の性質

「乙」は十干の2番目で、木の弟、すなわち木の陰の性質を持ちます。木は成長のシンボルとして解釈されますが、で、木の陰なのでどーんという大木ではなく、しなやかで柔軟な草木のイメージで、環境の変化に対応しながら、静かに強く成長していくエネルギーを持っています。そういった静かなるエネルギーを持っているところから、物事を優しく丁寧に積み重ねていくと花開く年になると言われています。

キーワードは「柔軟性」「成長」「適応力」。

◯「巳(み)」の性質

巳は十二支の6番目で「蛇」を象徴します。蛇は脱皮しながら成長していくところから、再生や変化のシンボルで、古いものを脱ぎ捨てて、新しいものに生まれ変わる力を持つと言われています。また、蛇は知恵の象徴でもあり、古くから水の神様や豊穣の神様、さらには金運の神様としても大切にされてきました。さらに蛇は、慎慎重に物事を進める一方で、「ここだ!」という時が来ると一気に動き出す瞬発力もあります。そしてしたたかで、執念深いという一面があることも忘れてはなりません。

キーワードは「再生」「変化」「知恵」

「乙(きのと)」と「巳(み)」が掛け合わさった2025年は、変化に対応しながら成長を遂げる1年になりそうですね。そしてひときわ「知恵」というキーワードが光ります。学ぶことが成長につながる、勉強するチャンスに溢れる年になりそうです。このように干支を読み解いていくことで、その年がもつパワー、エネルギーを上手に賢く利用することができるようになると、スイッチラボは思います。でも、何よりも大切なことは、自分自身の気持ちです。よ〜し新しいことにチャレンジするぞ〜、楽しいこと、やっちゃうよ〜〜、そんな前向きで楽しい思いで新年を迎えれば、きっと来年のパワーも味方してくれるはず。いっぱい遊んで、いっぱい学んで、いっぱい経験して、楽しい年にしていきましょう! 良い年をお迎えください。

ラボのつぶやき

なるほど! 還暦って、そういう意味だったんだ!!

先ほど「十二支」のところで「12年で一周」と言いましたが、十干と組み合わせることで、全部で「60個」の組み合わせが誕生します。ということは、同じ巳年生まれでも、十干では5種類の巳年があるのです。

12年ごとに「乙巳(きのとみ)」→「丁巳(ひのとみ)」→「己巳(つちのとみ)」→「辛巳(かのとみ)」→癸巳(みずのとみ)と、それぞれ違う干支になり、60年後にようやくぐるりと一周して、最初の「乙巳(きのとみ)」に戻ります。

つまり60年で原点に戻る。リセットされる。だから60歳なることを「還暦(かんれき)」といい、人生の節目として盛大にお祝いするのです。還暦の「還」という文字には「巡り巡って出発点に戻る」という意味があります。還暦祝いには赤いちゃんちゃんこや帽子など、赤いモノを身につける風習があるのも、「赤ちゃんに戻る」ということを象徴しており、新しく生まれ変わって第二の人生をスタートする。その記念すべき日が還暦なのです。

なるほど! 素晴らしい!! 単なる数字で見れば、59歳も60歳も変わりはありませんが、干支で見ていくと、60という年月には、こんなにも深い意味があるんですね。 今までなんとなく「還暦は赤いちゃんちゃんこを着て祝う」という認識程度でしたが、干支の壮大な世界観、そしてそれを受け継いできた日本文化の懐の深さに、思わず感動で震えるスイッチラボなのでした。