宝ものは君たちの中にある

コラム『食欲の秋に・・・
私たちは食べたものでできている』

2023年11月15日掲載

こんにちは、スイッチラボです。

秋、秋ですねぇ・・・(しみじみ)。深まる秋に皆さんは何を感じておられるのでしょうか?
秋といえば、芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋、行楽の秋、勉学の秋など、さまざまありますが、今回は「食欲の秋」にちなんで、「食」のスイッチを入れてみたいと思います。

まず、紙とペンを用意してください。
いきなりですが質問です。
昨日の夕飯は何を食べましたか? 手帳やスマホを頼らずに即答してください。

ハンバーグ? 焼き魚? それともパスタ? このくらいなら簡単に思い出せますよね。
逆に、すぐに思い出せなかったら危険です(笑) 副菜やお味噌汁なども含めて、食べたもの全部書き出してみてください。

できましたか? では、さらにさかのぼって、昨日のお昼ご飯を思い出してみましょう。それができたら朝食。それも書けたら、その前日の夕食。その前の日の夕食。ついでに「おやつ」などの間食も交えながら、昨日、一昨日、一昨昨日(さきおととい)の3日分、順繰りに書き出してみてください。

「あとでやろう」と思って先を読み進んでしまうと、一生やらないと思いますので(「あとで」と「おばけ」は出たためしがないと言います)、面倒がらずに今、やってみてください。ここでも手帳やスマホの写真の助けを借りてはダメですよ。

♪♪♪Thinking Time♪♪♪

はい。いかがでしょうか? スルスルと3日分、振り返られましたか? 年齢にかかわらず、「何も見ないで思い出す」ということを普段やらないので、結構な頭の体操になったのではないでしょうか?

こうやって実際に手を動かしながら記憶を辿っていくと、自分で思っている以上に「覚えていない」ことがわかります。手帳やスマホの写真を見ながらなら、簡単に思い出せますが、手がかりなしで自分の記憶だけだと、「えっと・・・なに食べたっけ?」と、脳にフルアクセスし、引っ張り出すのに時間がかかった方も多いと思います。

では、改めて、自分が書き出したものをしみじみと見てみましょう。

お肉が続いている。お菓子ばっかりだ。野菜が少ない。コンビニ食が多いなぁ・・・。
逆に、バランスが取れていい感じ♪ と思った方もいるでしょう。

ここに並んでいる食べ物が、皆さんが口に入れたものであり、確実に自分のカラダの中に入ったものです。そしてその食べ物は今、確実に皆さんのカラダの中で消化吸収され、血となり肉となっているのです。言い換えれば、今の「あなた」は、この何日か前に「食べたもの」でできていると言えるのです。

こんなに食べたのか? これしか食べていないのか? 
いずれにしても、こうして書き出したことで「自分のカラダの中に何が入っているか?」が再確認できたのではないでしょうか。

こうやって食べたものを記録していく手法は、「レコーディングダイエット」と呼ばれ、2007年頃から話題になりました。食生活を変えずに食べ物と体重を記録するだけなのに、なぜかみるみるうちに体重が減る画期的なダイエット法として、当時は結構なブームとなりました。

一旦ブームになってしまうと、過ぎゆくスピードも速いので、今では目立たない存在になっておりますが、忘れ去られたわけではなく、ブームから一般化しただけの話。スイッチラボ的には「物事の本質を捉えているスゴいやり方」だと大いに評価しリスペクトすると同時に、「これはやらなきゃ損でしょ!!」と、心の底から真剣に思っています。

記録することで、一体何が起こるのか?

毎日の食生活を記録することで、自分の食生活の傾向や、食のかたより、何を食べすぎ、何が不足しているのかが、一目瞭然になっていきます。それは今、皆さんが体験した通りです。

では、一目瞭然になると何が起きるのか?
そう、「気づく」のです。「わかる」のです。

チコちゃんじゃありませんが、毎日ボーッと生きていると、まったく気にならない、もしくは気がつかないまま生きていくことになるのですが、こうして現実を「見える化」することで、しっかりと脳に届く。ハッ!となる。ヤバいっ!と思う。この「気づき」こそが、素晴らしい「スイッチ」になるわけです。

ですから、食事はだけじゃなく、朝起きてから今日1日を振り返ってみる。勉強した内容を書き出してみる。ゲームは何時間やったか、テレビは何時間見たか、お手伝いはしたかなどなど、記録できることって、世の中にはいっぱいあるのです。

記録をするということは、ちょっと前の自分、つまり「過去の自分」と向き合うこと。自分でやってしまったことですから、言い訳もできませんよね。試しにやってみてもいいですが、3回くらい言い訳を書いていると、だんだんイヤになってきますよ(←スイッチラボで実験済み 笑) そして思うんです。事実ってスゴいなーと。グーの音もでないなぁーと。

あれこれと実際に記録していくうちに、スイッチラボは気づいてしまいました。
「事実は何よりも強し」ということを! 

強いからこそ、現実を直視するのは難しい。なかなか受け入れらないし、見たくないと思ってしまう人もいるかもしれません。でも、いろいろやらかしたのも自分なのですから、見ないふりをするよりも、そんな自分を受け入れて、味方にしちゃった方がいいですよね。損得で言えば、そっちの方が得だし、何より自分の気が楽になると思うのです。

このあたりのことについては、スイッチラボの研究テーマとして、もっと掘り下げていきたいので、今日はこの辺にしておきますが、「記録するといろいろ気づける」ということだけでも、脳みそのどこかにひっかけておいていただけると嬉しいです。

そして、「食べることを振り返る」ことが、「気づく」ことの最初の一歩。もっとも身近な自分と向き合う方法であり、しかもわかりやすい。食べすぎたら胃もたれするし、体質に合わないものを食べたらお腹を壊すし、いい感じに栄養チャージできたら翌日とっても元気になる。文字通り「身をもってわかる」のですから。

食材と一緒に「食べて」いるもの 
〜「空気」は最高の調味料〜

では、もう一度、先ほど書き出した過去の食事をしみじみじと見つめ直してみてください。食べたものを通して、その時の食事のシーンが浮かんできませんか?

ああ、このときは誰と一緒だったなぁとか、この時はスマホいじりながらの一人飯だったなぁとか、うるさい店だったなぁとか、この時は悲しいことがあったなぁとか、この時はめっちゃ忙しかったんだよなぁ・・・とかとか。

こうして振り返ってみると、「頑張ったね、自分」「よくやってるよ」と、自分を自分で褒めたくなると思います。どうぞ遠慮なく、しっかりと、まっすぐに、褒めてあげてくださいね。

カンの良い方ならもうお気付きになったと思いますが、改めてスイッチラボが気づいたこと。そうなんです。食事を振り返ることは、「自分の気持ち」の振り返りにもつながるんです。そして「何を食べたか」と同じくらい、「どんな風に食べたか」が大切なのです!!

食べ物を口の中に入れれば、自動的にモグモグ、ごっくん。あとは勝手にカラダがやってくれます。噛み砕かれた食材は、食道を通って胃の中に入って消化され、腸に送られ必要な栄養が吸収され、余計なものは排出され・・・こういう生命活動が自分の意思とは別のところでものの見事に繰り広げられているおかげで、私たちは「生きる」ことができます。

そんなの理科で習ったから知ってるよ、と思うかもしれません。でも、スイッチラボが着目したいのは、「周りの空気も一緒に食べている」ということ。空気というのは文字通りの「空気」も含みますが、自分の気持ちや考えと解釈してください。つまり、食事の時の「イライラ」や「モヤモヤ」も一緒に食べていて、それが自分のカラダを作っているとしたら・・・( ̄◇ ̄;) きゃー。結構怖いです。

例えば、シャケのおむすびを食べたとしましょう。おむすびの材料は、お米、お塩、海苔、そしてシャケです。

では、イライラしながら食べたおむすびと、楽しい気分で食べたおむすびは、同じでしょうか? それとも違う?

もちろん、食材としては同じですが、一緒に食べる「空気」がまるで違いますね。そして「どういう気持ちで食べたか」が、実際の胃腸の動きに影響することは、すでに医学が証明しています。多分1回の食事くらいでは、その違いはわからないかもしれません。でも、積もり積もれば何とやら。長い時間をかけてじわじわとカラダにダメージを与えてしまっているかもしれないのです。

ダメージを受けるのは自分。ダメージを与えているのも自分。自分で自分のカラダをいじめて、自分が痛い思いをする。自分が自分を弱くする・・・それって「なにやってんねん!」と、思わず関西弁でツッコミをいれたくなりませんか?

そう考えると、「どんな気持ちで食べるか」は、とっても大事。せっかくカラダに入れるのですから、イライラ、モヤモヤ、クヨクヨといった「ネガティブな空気」ではなく、美味しい、楽しい、嬉しいという「いい感じの空気」と一緒に食事をして欲しいと、スイッチラボは思います。そして、この「空気」こそが最高の調味料となるのだと!

さぁ、今日も元気に「いただきます!」

さて、冒頭で3日分の食事を振り返っていただきましたが、「食べたものを覚えていない」最大の原因はなんだと思いますか? それは「意識が食べ物以外に向かっている」からだと、スイッチラボは考えます。

何かと忙しい現代人は、目の前に食事が置かれていても、頭の中は他のことでいっぱい。明日の予定、来週のテスト、昨日やらかしたこと、今朝のお母さん小言、SNSでの友だちの発信、頭に入れなきゃならないことがいっぱいです。

スマホをいじりながらでも、ゲームをやりながらでも、笑っていても怒っていても、一回の食事は食事です。そして残念なことに大人も子どもも、ほとんどの人が「目の前の食べ物以外」のことを考えながら、食事をしていると思います。

本来ならば、食事の時は食事のことに集中する。食材のことをあれこれ思って、イマジネーションを広げて楽しく食べる。言うまでもなくこれが理想の食事スタイルですが、現実問題なかなかそうもいきません。

そこで燦然とスポットが当たるのが、「いただきます」という魔法のことば。正面を向いて今から食べるものと相対して座り、頭を軽く下げて、言える時には元気に声を出して「いただきます!」、周りの状況で言えない時には小声、もしくは心の声で、それでも元気に「いただきます!」と言ってから食べ始めてください。

「いただきます」を言ったからといって、抱えている悩みや問題がなくなるわけではありませんが、この言葉を唱えることで、いったんリセット。まとう空気を変え、素の自分に戻り、まっさらな気持ちで食事を始めることができます。

すでにお話ししたように、今の自分は「過去に食べたもの」でできています。昨日食べたものが今日の自分の一部となり、これから食べるものが、「未来の自分の一部」となるのです。

ですから、「いただきます」は、未来の自分と向き合うための大事なスイッチ。この言葉を言って食べるのと、言わずにダラダラ食べはじめるのとでは、どんな違いがあるのか? ぜひご自身のカラダで「実験」してみて欲しいと思います。そして違いがわかったら、ぜひスイッチラボにご一報ください。大事な大事な研究データとなりますので。

それでは皆さま、全てのものに感謝して。
今日も元気に、いただきます!!(-人-)


ラボのつぶやき

人は食べるために生きるにあらず。とはいえ、食べなければ死んでしまうのも事実。「食」は実に壮大で奥深く、スイッチラボ的には永遠のテーマのひとつでもあります。今回は「食と記録」という側面から深掘りしてみましたが、食の旬について、日本食の素晴らしさ、食事のマナーはなぜ必要? など、まだまだお伝えしたいことがたくさんあります。また折を見て「食べ物スイッチ」を入れてみたいと思いますので、どうぞお楽しみに。